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January 31, 2006

模型飛行機を性能評価しながら熟成する手順は?⑭

模型飛行機を性能評価しながら熟成する手順は?⑭:趣味際人

飛行の出発の速度や方向を、手投げよりも厳密に管理するために、カタパルトによる滑空計測も行いました。

手投げ滑空テストは、フリーフライト機の調整手順の定番です。ほとんどのモデラーがこのテストを行い、つりあいの良否を判断します。
ただし、このテストははじめに行う荒っぽい一次試験で、その判断は感覚的・定性的なものです。無風の場合、手を離してから着地するまでの距離を見て、滑空比の大小を判断できないこともありませんが、次の理由によって誤差が大きいことは明らかです。
まず、手を離れるときの向き、速度(投げる強さ)、高さが一定に管理できません。それから、地面効果があるため接地直前の滑空が伸びて、見かけ上は現実より大きい滑空比を示します。
上記の誤差要因を取り除いて、手投げ滑空テスト程度の距離の飛行で、より精密な飛行性能の測定を行うために、カタパルト滑空テストが考案されました。実はこの手法はかなり古典的なものなのですが、普通のモデラーが手軽に行うことができる、能率的なシステムが確立していなかったので、模型界では特殊な存在だったのです。

カタパルトは、ゴムや鋼鉄線の弾力で模型機を射出します。
ある重量、大きさの模型機を射出するとき、カタパルトのゴムを伸ばす長さや、鋼鉄線を撓める角度を一定にすれば、概ね一定の初速で発航させることができます。
機体をレールなどに乗せて射出する形のカタパルトならば、射出する方向を一定に保つことができます。
カタパルトは、机などの台や写真の三脚などによって、一定の高さに固定されますから、射出する高度を一定に保つことができます。
従って、滑空テストの初期条件を一定に管理できるのです。

地面効果の影響を取り除くためには、十分に高い高度(スパンの50%くらい)で測定のための滑空を終わらせれば良いわけです。地面効果のために、スパンの50%の高度では、主翼は縦横比が10%くらい大きくなった特性を示すといわれています。人力機のような長大なスパンで超低空飛行をする機種だと、この数倍の縦横比拡大効果が見込まれ、滑空比が大幅に向上するわけです。
地面効果の影響で実力以上の滑空比が測定されることを防ぐために、次のような方法を考えました。
カタパルト前方の一定距離に、壁や衝立などの垂直面を作り、方眼紙を貼っておきます。
テスト機の機首に鉛筆など紙に跡が残るものをつけて、垂直面に衝突させれば、方眼紙に滑空を終わったときの高度が記録されます。
カタパルトから垂直面(方眼紙)までの距離が滑空の水平距離、方眼紙の衝突跡の高さとカタパルトの高さの差が、沈下距離になります。
カタパルト射出から衝突までの時間で水平距離・沈下距離を割れば、滑空速度と沈下速度が求められます。
輪ゴム機のスパンは250mmくらい、室内機やA級ライトプレーンのスパンは500mmくらいですから、垂直面に衝突する高さが300mm程度であれば、地面効果の影響は無視できます。この種の機体の滑空比は5前後ですから、飛行距離が3mのときは衝突する高さより600mm程度高い位置、つまり床上900mmから発進させればよいわけです。
これは床に立ってカタパルトを操作するとき、手ごろな高さで、普通の机(高さ700mmくらい)の上や写真の三脚にカタパルトを取り付ければこれくらいになります。

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January 30, 2006

模型飛行機を性能評価しながら熟成する手順は?⑬

模型飛行機を性能評価しながら熟成する手順は?⑬:趣味際人

現在までのところ、室内の測定撮影を行った機種は、次の通りです。
1)Wa16級ゴム動力機
  全長、スパン 200~300mm 翼面積1~2平方dm、重量1.2~2.5g
  折りたたみプロペラ、しわフィルム張り片面翼
2)F1M室内機
スパン460mm、翼面積6平方dm、重量5g、しわフィルム張り片面翼
プロペラ・ゴム取り外し、ウイングレットなし、あり
3)スチレン翼の市販入門機
空転プロペラ・脚付き
4)折り紙飛行機
A4方眼紙使用の「おへそ型」、重量4g、翼面積約1.2平方dm

住宅の室内を使った測定は、雨の日曜などを使って手軽にできます。ただし、広さの限界があり上記程度の小型低速機に限られます。上記以外にA級ライトプレーンやピーナッツスケール、R50級くらいは可能と思いますが、ミニクープ、さらには公式競技機種のF1G、F1H、F1A、F1Bなどは不可能です。
これらまで対象を拡大するには、体育館などの広い室内か、風の影響のない室外の空き地の利用を考える必要があります。さらに、高速になるため適当な枚数の連写を行うには、大きな背景板がいります。
屋外では、レンガ、ブロック、タイルなど、一定間隔の縦横線のある塀や建物の横に、平行に飛ばせる空間があり、直角に離れた場所からそれらをバックに撮影できるところがあれば、好条件です。
レンガ塀などは、碁盤目つきの大きな背景板の役をします。もちろん、横の筋が水平でないと沈下速度や滑空角が測れませんから、事前にレベルや振り下げで確かめておく必要があります。
大型で高速ならば、測定飛行距離、つまり背景の幅も長くなり、それだけカメラを離さないと撮影できませんが、以下のように屋外ならば無理なく取れる範囲です。
飛行速度は大型の国際級ゴム動力機・グライダーで5m/秒くらい、国際級エンジン機やRCグライダーで7m/秒くらいですから、0.3秒(10枚撮影)の間に2m内外飛行します。したがって画面の必要幅は2mくらいです。
デジカメの光学ズームを望遠側いっぱいにすると、撮影距離は画面幅の3倍くらいになるので、カメラの位置は背景の碁盤目面から6mくらいという計算です。但し、機体が大型化してスパンが長くなるため、飛行コースは背景よりそれだけ手前になります。したがって6mにその分を加えた7~8mが必要な撮影距離になります。
発航と撮影を一人で行う場合、カメラと離れた位置でシャッターを切る必要があります。
前述のように10mのエア・レリーズが市販されていますから、上記の距離くらいまでは掛け持ちが可能です。

アルバムの写真は自宅のそばの長さ6m強のタイル塀を利用して撮影したミニクープ(全長・スパン700mmくらい、重量40g、翼面積7平方dm)です。

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January 29, 2006

模型飛行機を性能評価しながら熟成する手順は?⑫


模型飛行機を性能評価しながら熟成する手順は?⑫:趣味際人

(承前)
プロットが等間隔で直線状の場合は、その間隔を前述の縮尺で測定して飛行速度や沈下速度が推定できます。このとき、測定の基準(水平・垂直)は撮影画面の縦横ではなく、あら初め水平に設置してある背景板の碁盤目になります。
隣のプロットとの間隔は1/30秒ですから、3区間で1/10秒になり、この距離を縮尺で実物ベースに直した値の10倍が秒速になります。沈下速度はその3区間の垂直距離を測れば求められます。
テストした機体の仕様、重量や翼面積はわかっていますから、あとは公式にしたがって揚力係数CL、抗力係数CD、揚抗比L/Dなどを求めます。
画面の縮尺ははじめに、(プリントの胴体の長さ/現物の胴体の長さ)で算出してありますから、推定飛行速度(秒速)は
プリントの測定点の水平距離/縮尺/{(測定点の数-1)/(1秒間の撮影枚数)}
で求められます。
同様に沈下速度は
プリントの測定点の垂直距離/縮尺/{(測定点の数-1)/(1秒間の撮影枚数)}
になります。

プロットの間隔が次第に広くなっていく場合は、機体が加速しているか、背景板から離れてカメラに近づいていることが考えられます。その逆は、減速か背景板へ接近していく場合です。どちらのケースであるかは、撮影時のメモでもわかりますが、それぞれの画像をもう一度ディスプレイに呼び出して機体全長の変化を見て判断できます。つまり、カメラから離れていく場合は全長も縮小して映っているはずです。
加速している場合は、ピッチング飛行の一部が撮影された可能性があり、定常飛行ではないのでデータ価値は低いといえます。
定常飛行しながら背景板よりカメラに近づいている場合は、修正をすればデータとして使えます。最初に測定した画面中央付近の機体の全長を共通のものさしにする代わりに、それぞれの画面の全長をそれぞれの画面のものさしに変えれば、それぞれのプロット間の実寸換算距離一定に近づくはずです。つまり、カメラに近づいて画像のプロット間の距離が大きくなっている区間では、物差しとなる機体全長も大きくなり、両方の増大が相殺されるわけです。
カメラから離れて、背景板に近づく飛行コースでは、プロットの間隔が次第に狭くなります。そのときの修正法は上記と同じです。

プロットの間隔が増減して、上下方向の向き(つまり滑空角)も変化している場合は、明らかにピッチング飛行です。このときの各画像の胴体の上下方向の向き(つまり迎え角)も、同じく変化しています。
滑空性能を調べる目的では使えないデータですが、安定の分析のために筋書きを作って測定すると面白そうです。つまり、重心位置を一定%後退させたり、主翼取り付け角を一定角度増やしたり、故意に一定量だけ安定を崩した場合、どのようなピッチングをするか興味のある問題です。

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January 28, 2006

模型飛行機を性能評価しながら熟成する手順は?⑪

模型飛行機を性能評価しながら熟成する手順は?⑪:趣味際人

デジカメによる模型機飛行の測定連写の、連続写真の解読は次のように行います。

撮影画像は1回に80枚ですから、10回の試行結果の平均で、ある滑空状態を測定するためには、800枚以上使っているわけです。これを全部パソコンに読み込んで、全部見ていては能率が上がりませんから、いらないデータはできるだけ早い段階で切り捨てる必要があります。
まず、飛び方やコースを見れば、使える画像データかどうかが判断できます。この段階で落第のデータはパソコンに読み込む必要はありません。手順7)の特記事項では、その飛行データが使えるかどうか記録をしておき、使える連写だけ読み込むようにします。

読み込んだ80枚も大部分が使えないカットです。つまり、機体が背景板の前を通過している数カット以外は、背景板の碁盤目しか写っていないわけです。
適当な名前(機種名、測定日時など)のファイルを作って、使える数カットだけファイルに移し、後は削除してしまいます。重心位置を測点としている場合、機首だけ、尾翼だけなどのカットは、飛行速度の測定には使えませんが、飛行経路の直線性のチェックには使えますから、残しておいたほうが良いと思います。
このように、連写10回、800枚の画像を撮ったとしても、実際に使うものは数カットが2~3組で、全体の2~3%だけです。だから、無駄なデータを手際よく切り捨てることが重要です。
読み込んだ連写シリーズは、ひとつずつファイルにまとめて、機体名、日付、試行回数などをタイトルにつけて整理しておきます。

ファイルに残された数枚の画像を使って、飛行速度、沈下速度、滑空比が解読できます。
まず、順番の中ごろの機体全体が写っている画像を、できるだけ大きくプリントします。観賞用ではありませんからぼけていても良く、普通紙で十分です。
画像の機体の全長を測り、実物との比率を計算して画像の縮尺を求めます。
次に、測点を決めます。理論的には重心位置を使うべきなのですが、ぼけた画像からは読み取りにくいので、機体先端など読み取りやすいところを選ぶのが実用的です。

撮影に先立って、重心位置に映りやすく目立つマークをつけておけば理想的です。
ファイルの画像をはじめから順番にディスプレイに表示して、その画像の測点の位置を背景板の碁盤目基準に読み取り、その位置をプリントに書き込みます。その連写が定常直線滑空飛行ならば、書き込まれた測点が等間隔で直線状にプリント上にプロットされるはずです。プロットの間隔がさまざまで、上下に波打っているなどの場合は、後述するような細かい分析を行って原因を解釈することになります。


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January 27, 2006

模型飛行機を性能評価しながら熟成する手順は?⑩

模型飛行機を性能評価しながら熟成する手順は?⑩:趣味際人

デジカメによる模型機飛行の測定連写の撮影のタイミングは、各工程の「間(ま)」が微妙ですから、何回もやってみて「こつ」をつかむまでには失敗がかなり出ます。
一連の作業を整理してみると、次のようになります。< >は工程の間の「間(ま)」です。
1)準備:左手にエア・レリーズを握り、
  右手に機体を投げ出せる姿勢に持つ(または、機体をカタパルトにセットする)
2)エア・レリーズを押す
   <間1、デジカメのシャッター作動の遅れ>
3)シャッター音またはランプ点灯を確認して、機体を発進する。
   <間2、機体が「助走区間」通過>
4)機体が背景板の前を通過。データ画像が撮影される。
5)飛行終了(壁やカーテンに衝突、落下)
6)撮影終了
   <間3、画像データをメモリーに収める>
7)機体回収、状況など特記事項をメモする、機体の微調整など。
8)デジカメのリセット確認
   <間4、次回の準備に戻る>

筆者が使用した、NIKON COOLPIX990の場合、1秒間に30こまの連写を80こま行います。つまり連写時間は2.67秒で、上記の3)から6)までの時間がそうなります。
助走区間が1.5m、撮影区間1mのとき、飛行速度1.5m/秒ならば間2が1秒、4)の撮影が0.7秒で、連写時間は終了後に1秒余ります。つまり、3)でもたついて1秒弱遅れても、背景板の前の飛行を何とか最後まで撮影できることになります。
だから、図(アルバム参照)の配置で飛行速度1.5m/秒以上の機体ならば、かなり余裕を持って発進することができます。
室内機など飛行速度が上記よりかなり遅くなる場合は、助走時間が長くなりますから、2)と3)を同時に行う見切り発進が必要になるでしょう。
逆に、速度が大きい場合は、背景板の前で何枚取れるかによって、この配置の測定限度が決まります。1秒に30枚撮影された場合、HLGなど飛行速度5m/秒の機体は1枚ごとに0.17m進みます。
飛行経路は背景板より手前ですから、実際の撮影範囲の飛行距離はその幅の80%程度になります。背景板の幅が1mの場合は飛行経路が0.8mになり、単純計算では(0.8/0.17=4.7)、つまり1/30秒の4区間の飛行が撮影できます。現実には測点がもうひとつはみ出してしまう可能性があり、3区間のデータになる場合もあるでしょう。
データを取るときに、飛行経路が乱れていないことを確認したいので、最低でも3~4区間の測点が欲しく、上記の撮影幅では飛行速度5m/秒の機体はかなり苦しいことになります。

高速連写モードの場合、デジカメが撮った画像データをメモリーに取り込む時間がかなり長くかかります。つまり、1シリーズの連写が終わってから、次の撮影ができるようになるまでの準備時間が、結構かかるのです。(間3)
作業が順調に進んでいるとき、機体を回収してすぐに次の飛行を行えるのですが、そのタイミングではデジカメのリセットが終わっていないのでシャッターが切れません。この待ち時間に、手順7)、8)のような工程をはさむと、トータル的には能率が上がります。
実際の撮影を行ってみたところ、1回が2~3分でした。筆者のデジカメ機種の場合、64メガのメモリーで24回の連写を記録できますが、それを撮りきるのに1時間くらいかかるわけです。
前述のように、背景板の近くを平行に通過する飛行は数回に1回で、コースがそうなっても発進速度や発進角度の過不足によるピッチングや突っ込みが生じます。だから、ひとつの機体の、ひとつのつりあい状態(一定の重心位置、取り付け角)の、定常飛行状態と思われるデータを取るのに、10回以上の撮影を必要とする場合が多いのです。


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January 26, 2006

模型飛行機を性能評価しながら熟成する手順は?⑨


模型飛行機を性能評価しながら熟成する手順は?⑨:趣味際人

デジカメによる模型機飛行の測定連写の撮影手順は、次の通りです。

ズームはなるべく望遠側にセットして、背景の碁盤目が画面いっぱいに収まるようにします。カメラは「高速連写モード」にセットします。また、シャッターは高速にしたいので、「高感度撮影モード(ASA400など)」にします。(500wの照明1灯の場合、ASA400で1/500秒でした。)
飛行コースのかみ手に立って、利き手で機体、反対の手でエア・レリーズを持ち、レリーズを押してシャッター音を聞いてから機体を投げると、機体が背景の前を通過するところが数コマ写るはずです。室内機ならば1m/秒、輪ゴム機ならば2m/秒、ライトプレーンでも4m/秒程度の速度ですから、90cm幅の背景の前を少なくとも0.2秒かけて通過します。
筆者のデジカメの場合、高速連写は320×240画素の画像を30枚/秒で80枚撮影します。撮影時間は3秒弱あるので、機体が画面に入るまで1秒飛行するとしても、上記程度のタイミングで落ち着いて発航させれば、必要なコマ数の連続写真は撮れます。
80コマの連写は、64MBのメモリーのとき24シリーズ写せますが、手投げに慣れてきて画面をうまく通過する率が高くなれば、数シリーズの撮影結果の平均で性能が推定できます。
1回の撮影時間は2~3分です。デジカメが80枚の撮影結果をメモリーに取り込む時間が長くかかるので、次の撮影までに待ち時間が必要ですが、その間を利用して機体の準備・調整や状況のメモなどが可能です。
模型機は一般に旋回飛行するように調整してありますから、背景の前を平行にすれすれに通過させることは結構難しく、カメラに近づく方向に逃げたり、背景にぶつけたりすることが多く、測定できる写真を撮る前にリハーサルが必要です。いつも飛ばしている旋回調整のままでは撮影困難で、直線滑空に直して、機首に錘を積んで飛ばさなければならない場合もあります。

できるだけ背景板に近く、背景板の前を通過するように飛ばすことはコツが必要です。
特にカタパルトを使わないで手投げで飛ばすときは、慣れてもかなり失敗が出ます。内角すれすれの直球が理想ですが、デッドボールや外角に逃げるカーブが多く、撮影データが役に立たないケースがでます。
飛行経路の高さも管理しなければなりません。
床に近い高さだと地面効果によって沈下が減るため、撮影範囲では一定以上(スパンの50~100%)の高度を保つ必要があります。だから、背景板の下辺は床から浮かしてセットしてあります。
この程度の設備でデータが取れる小型機は滑空比が4~6程度ですから、1m幅の背景板を通過すると20cm以上沈下します。背景板の高さは60cmくらいですから、上の半分に進入させないと下辺に抜けてしまい、後半のデータが取れないわけで、進入高度の細かい管理も必要です。
発進から背景板に進入するまでの間に、発進のときの乱れを減衰させるための距離(いうなれば「助走区間」)を置きたいので、コースや高低を管理するためにあまり近くから発進させるわけにも行きません。
本番の撮影にかかる前に、何回も滑空テストを行って、データが取れるような飛行をさせる条件を固めておく必要はあります。

室内撮影の場合どうしても明るさが不足します。カメラを窓側に置き、長い撮影距離にすると、飛行経路は部屋の奥の壁沿いになるわけです。できれば、500W一灯くらいの照明を使ってください。カメラの感度設定は高感度(ASA400以上)にします。
連写のときにストロボは使えません。
このような設定のとき、シャッター速度は1/250秒くらいになり、多少のぶれは生じますが、何とか測定点の位置をプロットできます。


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January 25, 2006

模型飛行機を性能評価しながら熟成する手順は?⑧

模型飛行機を性能評価しながら熟成する手順は?⑧:趣味際人

デジカメ連写による飛行測定は、小型・低速機の室内撮影から始めました。
具体的にはWa16級輪ゴム動力機の測定で、スパン・全長が20~30cm、飛行速度は1.5m/秒程度のものです。
測定のための配置は図(アルバム参照)のように、飛行距離・撮影距離ともに3m内外ですから、普通の居間でも何とかやれます。
撮影のレイアウトは以下のようになります。
まず一方の壁に平行に、飛行距離3m強、幅はスパンの2~3倍の飛行エリアを確保します。手投げ高度が1.5mくらいで、飛行終了高度は1m弱になるので、それ以下の高さに物があっても、とにかく測定飛行は出来ます。
飛行終了面のしも手の壁より若干かみ手寄りの正面の壁に、背景となる碁盤目の紙を水平に貼ります。碁盤目が飛行測定の基準になりますから、レベルまたは振り下げを使って、横線と縦線を水平および鉛直に正確に合せて下さい。
碁盤目を背景にして模型機を定常滑空させたいわけですから、実際に手投げしてみて背景を貼る適当な高さと横の位置を決めます。
背景の位置が決まったならば、その正面に三脚を据えます。正確に測定するにはなるべく遠距離から望遠で撮影するのが望ましく、光学ズームを最大に効かせます。その場合は、撮影画面幅の3倍程度、つまり2~3mの距離にカメラを置くことになります。正確に測定するためには、カメラの写線は水平で、背景の面に垂直でなければなりません。
照明は、飛行と撮影に邪魔にならない範囲で、なるべく飛行コースの近くに配置します。
カメラにはエア・レリーズを取り付け、手投げ発航する位置まで伸ばしておきます。
以上は文章で読むとややこしいのですが、実際に配置してやり方を覚えてしまえば、次からは簡単に機械的に出来る手順です。

要点は、撮影範囲(約1m幅)を、定常滑空状態で通過させることです。手投げでも何とかなりますが、失敗が多く能率が上がらないので、カタパルトなどで発射位置・発射方向・初速を一定に管理することが重要です。カタパルトについては後述します。


一人で機体の発進と撮影を行うためには、発進位置からシャッター操作をする必要があります。そのために、長いエア・レリーズ(10mまで市販)を使います。
デジカメの多くは、シャッター・ボタンにレリーズの取り付けねじを切っていないので、レリーズをカメラに取り付けるホールダーを自作する必要があります。カメラ機種によって形は違ってきますが、合板とハードバルサで適当な形に作り、輪ゴムで固定する程度のもので実用になります。
機体発進と撮影を2人で手分けすれば、長いレリーズは必要ありませんが、1人で兼務したほうがタイミングを合わせやすいようです。 

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January 24, 2006

模型飛行機を性能評価しながら熟成する手順は?⑦

模型飛行機を性能評価しながら熟成する手順は?⑦:趣味際人

(承前)
ここで例示した道具の進歩は2つだけですが、これだけでも相当なことがわかります。すべてのフリーフライト機というわけではありませんが、今まで高嶺の花であったCLとCDの値を個人的に測定することができるのです。

まず、デジカメ連写を使った飛行速度・沈下速度の測定について具体的に説明します。

市販の上・中級デジカメの中に高速連写機能を持つものがあります。1秒間に30こま程度で2~3秒の間の連写を行います。
1回にまとめて数10枚の録画を行うため、画素数は単写に比べて大幅に低下し、数万画素程度ですから、画像としてはぼけたものになります。したがって機種の識別も困難ですが、重心点や機首などの測定点の位置は識別できますから、複数画像の測定点を順番に並べてプロットすれば、その期間の移動距離が測れます。
この手法は、昔から映画のフィルムを使って行われていましたから、古典的なものですが、前述のように大掛かりで手間がかかっていたため、研究所などの大きな組織しかできなかったのです。
理屈は簡単ですが、現実に一般のモデラーが普通の飛行調整の一環として行えるかどうかは別問題でした。つまり、特別な費用や手間をかけずに、測定する場所や設備や道具がそろえられることと、測定や分析の手間があまりかからないという条件を、クリアする必要があるからです。
一方、連写機能のあるデジカメの出現は最近ですから、それを軸にした能率的なシステムは新たに作る必要があります。以下のやり方が今のところ決定版ですが、それまでに試行錯誤があり、もっと手軽な方法があるかもしれません。

まず、デジカメですが、最近は中級機でも高速連写が付くようになりましたから、手持ちのデジカメにこの機能が眠っている可能性はあります。家庭用に普及している汎用機器ですから、購入するにしても模型用の特別支出ではありません。
模型機が、輪ゴム機、室内機、小型ライトプレーン程度の小型低速機ならば、8畳程度の広さで測定飛行が出来ますから、団地のリビングでも家具を移動すれば可能です。
カメラ関連の小道具としては、三脚、撮影用の照明(500w電球とクリップ器具)、エア・レリーズ(5mまたは10m)が必要ですが、まとめて10000円程度でそろいます。
デジカメのシャッター・ボタンにはレリーズのねじ込み穴が付いていないので、レリーズのプッシュロッドをシャッター・ボタンの直上に固定するホールダーをバルサで作り、輪ゴムでカメラに縛り付けました。デジカメ機種によってさまざまな形式になると思いますが、モデラーならば簡単な工作です。
そのほかに撮影の背景が必要ですが、90cm四方くらいの機体の色とコントラストの強い色の紙に、碁盤目を書いて、飛行高度(床上1mくらい)を中心に壁に貼ります。筆者は、黒色の紙に25mm幅の白色テープを10cm間隔に貼ったものを使いました。
機体と家具などとの衝突が心配な場合は、要所にシーツなどをかぶせておきます。
以上が室内測定のために必要な設備と道具です。雨の休日も自宅で模型機の飛行が楽しめるわけですから、高い投資では無さそうです。

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January 23, 2006

模型飛行機を性能評価しながら熟成する手順は?⑥


模型飛行機を性能評価しながら熟成する手順は?⑥:趣味際人

前述のように、滞空性能は以下のように分解されました

滞空性能(滞空時間)
   A)滑空性能(沈下率、滑空比)
   B)上昇性能(上昇高度、上昇率)
       B1)プロペラ性能(シミュレーションシステム)
       B2)動力性能(ゴムのトルク測定)

B)については測定・評価のシステムが一応成立しましたから、それを補完するA)滑空性能の測定について考えて見ます。

滑空性能の測定の代表的な方法は、風洞実験です。風洞は、研究所や大学くらいの組織でないと備えられませんから、高嶺の花ではあります。加えて、何らかの方法で使わせてもらえたとしても、輪ゴム機のような超小型で低速な模型飛行機の性能を、正確に測定できる機種も無いようです。
われわれが実際に行うことが出来る滑空性能の測定法は、2つはあります。
両方とも、実際の滑空を精密に測定して、飛行速度や沈下速度を求めるやり方です。現実の滑空性能を求める方法としては、風洞実験に比べると直接的で正確と思われますが、その代わりに測定範囲がひとつの「つりあい状態」に限定されています。風洞実験は、たとえばゼロ揚力から失速まで、CLとCDが曲線として測定されますが、これから説明する方法はある「つりあい状態」のCL・CDだけです。

最近になって、いくつかのハイテク機器が個人で趣味的に使えるようになりました。
1/100秒のラップ表示つきストップウオッチが日給以下の金額で買えます。東京オリンピックのときの1/10秒の単針ストップウオッチは、月給額以上でした。
連続撮影による動きの解析は、今では中級のデジカメとパソコンがあれば一人でできます。
画像は電子的に記録・処理されますから、解読するときに消耗品はいりません。
同じことをパソコン以前、デジカメ以前に行うとすれば、フィルム式映画撮影機・映写機を中心としたシステムになりますから、機器の値段は別にしても消耗品は多く、手間は何倍にもなります。フィルム現像という外注工程が入ってきますから、その部分に固定的な必要時間がかかり、撮影した映像をその場でパソコンに入力して分析するような小回りは利きません。


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January 22, 2006

模型飛行機を性能評価しながら熟成する手順は?⑤

模型飛行機を性能評価しながら熟成する手順は?⑤:趣味際人

(承前)
B2)の動力データを取るためには、動力ゴムのトルク測定を行います。この方法も本ブログ「動力ゴムの出力測定(続3・模型航空計測工学)」で取り上げました。要約すると以下のようになります。

トルク測定器には市販のものもあります。また、プロペラの代わりに腕木を取り付け、それを「天秤はかり」に使えば、そのときのトルクを簡単に測定できます。
動力ゴムを巻き込みながら、あるいは戻しながら、それぞれのときの巻き数とトルクの関係を記録して、それをグラフにすれば、そのゴム束のトルク曲線が描けます。
このトルク曲線と横軸の間の面積を、積分あるいは区分求積法で求めれば、それが動力ゴムの蓄積・発生する総エネルギーになります。
また、上記の、トルク曲線の下に挟まれた部分の形を厚紙に写し、切り抜いて重量を測ります。その重量と、同じ厚紙の単位面積(単位エネルギーを示す)の重量との比率からも総エネルギーは求められますから、複雑で高級な計算法を知らなくても、ゴムの動力データは測定できます。

動力ゴムの発生するエネルギー(入力:B2)と、上昇高度(出力:B)の比率が「上昇効率」になります。つまり、一定のエネルギーでより高く上昇する設計が優れているわけで、このことは概ねプロペラの良否で決まります。
つまり、B1のプロペラの評価は、BとB2のデータから間接的に求められるわけです。
プロペラの評価は、理想的にはパソコンの上昇シミュレーション計算システムなど、精緻な上昇の性能計算によるべきですが、近似的には次の式の値の大小でも判断は付きます。

(機体重量×上昇高度)/動力ゴムの発生エネルギー


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January 21, 2006

模型飛行機を性能評価しながら熟成する手順は?④

模型飛行機を性能評価しながら熟成する手順は?④:趣味際人

前述のように、性能向上は地道に多くの小要因をひとつずつつぶして達成されるものですから、さまざまな要因の利き方を個別に、より直接的に評価する複数の手段が必要です。
ただし、改良したい点が無数にあるとしても、現実に手をつけられる数には限度があります。モデラーはNASAのような大組織ではなく、個人が余暇に行う活動ですから、測定・評価するポイントは精選しなければなりません。
その第一歩として、滞空性能を次のように分解して、それぞれに対応することを考えました。括弧内は評価・測定の手段です。

滞空性能(滞空時間)
   A)滑空性能(沈下率、滑空比)
   B)上昇性能(上昇高度、上昇率)
       B1)プロペラ性能(シミュレーションシステム)
       B2)動力性能(ゴムのトルク測定)

これでもアバウトな分解ではありますが、滞空時間だけで性能を評価する場合に比べるとはるかに具体的で、問題点をはっきり示すことができます。

まず積極面である上昇を考えます。
B)上昇性能の評価システムについては、2002年度のスカイスポーツシンポジウムに於いて発表を行い、本ブログでは「レーザー距離計による模型飛行機の高度測定(続・模型航空計測工学)」で取り上げました。簡単にまとめると次のようになります。

市販のレーザー距離計と建築用の傾斜計を同軸に結合して、上空を飛行中の機体までの距離とそのときの仰角を同時に測定・記録します。上記の2計器にテープ・レコーダーを追加結合しておけば、読み上げた測定値(距離と仰角)をリアルタイムで記録できます。
高度は、このデータから三角関数で計算できます。
筆者の使用した機器は、距離計が「ニコン・レーザー800」、傾斜計が「イワツウ」製のものです。
測定すべき模型機の上昇高度は、最高でも百数十mで、機体が流されて移動した場合に斜めに測った距離は、その2~3倍くらいです。だから、普通のレーザー距離計の測定範囲(500m内外)に収まります。測定誤差は±1mくらいですが、模型機の上昇高度の比較という目的には、十分な精度といえます。
テープ・レコーダーをつけておくと、次々に測定結果が記録できますから、ゴム動力機の上昇経過を連続的に追って測定する、あるいは何機も同時に発航・上昇したときにそれぞれを測定するなど、能率的なデータ採取ができます。


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January 20, 2006

模型飛行機を性能評価しながら熟成する手順は?③:

模型飛行機を性能評価しながら熟成する手順は?③:趣味際人

「静気流のときの全力飛行の計時」と簡単にいいますが、まず、いつも「静気流」ではありません。そして、全力飛行は機体にも飛ばす人にも負担がかかり、一日に何回もできるテストではありません。それに、1箇所ではっきりわかるほど性能が向上できるような、おいしい部分は残っていませんから、ごく僅かな性能差を識別しなければならないので、複数回のテストが必要です。
国際級は1回3分の飛行が基準ですが、その飛行を行うための所要時間は1時間くらいです。つまり7ラウンドの競技を、日の出から日没までに何とか消化しているのが現状です。

いずれにしても、従来の調整・熟成手順で評価の基準となる指標は「滞空時間」だけです。滞空時間を決定する要因は
   ハードウエアである「機体の仕様」
のほかに
   飛ばし方(ソフトウエア)
   気象などの外部条件(主として「運」)
などがあり、滞空時間が向上したとしても、一般的には何の効果によってそうなったのかわかりません。

ストップウオッチで測定した「滞空時間」という性能指標自体は、客観的で定量的なしっかりとしたデータなのですが、あまりに総合的であるので、個々の性能向上手段と直接的に結びつかないわけです。

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January 19, 2006

模型飛行機を性能評価しながら熟成する手順は?②

模型飛行機を性能評価しながら熟成する手順は?②:趣味際人

設計段階は、細かい判断の積み重ねで、各部分に代替的な方法がいくつもあり、そのうちのひとつを不十分な情報の元に決断して選択しているのが現状です。平たく言えば、山勘で決めている部分が多いわけです。
山勘で決めた部分のうち重要なもの、性能に対する影響が大きいと思われるものについては、飛行調整の段階で試してみることが望ましく、またそうするだけの価値があります。

このような場合、自動車のF1やヨットのアメリカズ・カップのようなトップエンドの競技では、次のような手順を踏んでいます。
まず、まったく同じ車やヨットを2つ作ります。それに、ほぼ同じ腕の二人のドライバーや同じ水準の二組のクルーをのせます。2台の車や船を競わせてみて、ほぼ同じ性能であることを確認したら、一方を1箇所(A)だけ代替設計(A‘)に変えてみます。その状態で2組を競わせて優劣が出たならば、その原因は変えた部分(AとA‘)だけに絞ることができます。つまり、その部分の2つの方法に優劣が付くわけです。
もしA‘がAより優れていたならば、両方の車、船をA‘に改造して、次の箇所Bの代替設計B’に付いて、同じ手順でテストを行い、その結果によって両方を優れているBまたはB’に改造します。そして次はC、D、E・・・・・の箇所について同じ手順を繰り返し、それぞれの部分の優劣を確かめ、優れた部分だけを集めた設計に煮詰めていくわけです。

この手順を模型飛行機に当てはめると、以下のようになります。
設計に当たって、翼型、プロペラ、後ろモーメントアーム、・・・・・・についてそれぞれ次のような決断をしたが、それぞれの第2候補も捨てられない。
つまり
翼型は、A1断面、A2断面から、A1を選択
プロペラは、普通型B1と、可変ピッチのB2より、B1を選択
後ろモーメントアームは、長いC1(mm)と、短いC2(mm)から、C1を選択。
・・・・・・・・・

車やヨットの例に倣えば、初めから2機作ることになるわけですが、現実は翼型の比較テストのときに主翼、プロペラの比較テストのときにプロペラ、後ろモーメントアームのテストのときに胴体、と順次作っていき、結果的に2機そろうことになる場合が多いと思います。
ヨットの場合は風などが一定でないので、直接対決をしないと優劣が付かないのですが、模型飛行機の場合は静気流のときの計時で比較できるので、比較部分だけ一対あれば用が足ります。
このように、ひとつずつ潰していく方法は、一気に別の設計、つまりA2,B2、C2・・・・・・の機体を作るよりも、明らかに能率的に性能向上を達成できます。それぞれの部分は、1と2とどちらが優れているかわからないのですから、両方の設計とも優れた部分と劣る部分が混在する可能性が強く、結果的には差が出ないことも有り得るのです。


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January 18, 2006

模型飛行機を性能評価しながら熟成する手順は?

模型飛行機を性能評価しながら熟成する手順は?:趣味際人

模型航空は飛行効率の良さを競い、楽しむ遊びといえます。フリーフライト機の滞空時間は、飛行効率の明確な指標ですから、これを目標に進むことが具体的な楽しみ方になります。
ところが、
「何をどうすれば滞空時間が向上するか」
明確にはわかりません。
航空力学の理論によって、どうすれば機体の個々別々のさまざまな性能が良くなるかという因果関係はわかります。ただし、現実に測定された「滞空時間」という性能指標は、さまざまな要因の複合的な結果ですから、試みた「ある向上策」が本当に効いているかどうか、あるいは定量的にどれくらい向上したかということは、わからない場合が多いのです。

具体的に考えて見ましょう。
模型航空を行う場合、はじめに目的とする性能や指標を定め、たとえば滞空時間が優秀な機体を設計・製作しようと試みます。
解説書を読むと、飛行性能を向上させる方法は列挙されています。たとえば、軽量化、翼面積の増加、主翼以外の部分を小さくする、翼の縦横比の増大(翼を細長くする)、有害抵抗の削減・・・・・などです。
これらはいずれも正しいことなのですが、滞空時間に対して何がどれくらい(定量的に)効くか明らかにされていませんし、今、現実に作っている模型機に、本当に効果があるかどうかもわかりません。さらに、ほとんどの手段が何らかの副作用を抱き合わせに持っていますから、適用される設計によってはマイナスになることもありうるのです。

そこで、無数の要因のうち、現実にやれることを選択し、優先順位をつけて実行し、最良・最適であろう機体を作り上げるわけです。

ところが、それが理屈どおり飛んで、計算どおりの性能を発揮することはほとんど無く、それ以降の長く地道な調整・熟成過程が決め手となるのが現実です。高性能は、天才のひらめきによって図面の上に出現するのではなく、飛ばしながら小改造を積み重ね、コンマ何秒を積み重ねることによって得られるようです。
細かい積み重ね過程にしても、ひらめきによって一発で要点を押さえるのではなくて、試行錯誤的に空振りを繰り返しながら、何回目かにヒットするのが現実です。天才ではないわれわれは、空振りはやむをえないとしても、なるべく早くヒットできるような手順を確立する必要があります。

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January 17, 2006

趣味際的設計論⑨

趣味際的設計論⑨:趣味際人

(承前)
F1B級とオープン・ラバーと、同じルーツの兄弟種目を「設計する」という視点で対比してみて、どちらが面白いかといえば後者だと思います。理由は、まさかりできり割るような根本的な決断ができるからです。その点、F1B級はきわめて高度な技術を必要とするものの、例えるならば剃刀の刃による細かい細工です。
同じF1B級でも、前述の動力ゴムが無制限から40gに至る10数年間は、設計者は現在よりも大きな決断を迫られました。だから筆者にとっては、その時代がウエークフィールド/F1B級にとって黄金時代に見えます。

自設計主義者にとって、国際級に対するダブルパンチとなったのは、BOM規定(自作条項。競技者が自分で作った機体で競技することを求める条文)の廃止です。その結果、完成機やキット機の参加が容認され、出場機の設計の画一化が加速されました。
この現況は、国際級フリーフライト競技の体質の変化であり、設計を楽しむモデラーとしては抵抗を感じます。

その「抵抗」を示す証拠として、CDH級(後に国際級に採用されF1Gになりましたが)やP30級などの、「草の根」派の規格の興隆です。つまり、F1B級の様に過度に開発されて最適設計が固定されていないので、バルサ構造によってさまざまな設計や試みが手軽に行える種目に、魅力を感じる層の増加です。
ライトプレーンをはじめ、ミニクープ(1/2CDH)、R50、ピーナッツなど小飛行場のためのミニ種目も、設計が固定化されておらず、さまざまなアイデアを試みることができる小型機群です。設計を楽しみモデラーとしては、自由度の少ない国際級以上に魅力のあるテーマかもしれません。
模型飛行機は、飛ばすだけの対象ではないと考えるモデラーとしては、現在の、最高の技術を持つといわれる国際級が、自作・自設計派の魅力を失い、その分野から才能ある設計者が流出することを心配します。

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January 16, 2006

趣味際的設計論⑧

趣味際的設計論⑧:趣味際人

当該模型航空機について、設計者がどこまで決定できるかという範囲の問題があります。
具体例を挙げて見ましょう。
現在でもイギリスの国内級規格に残っていて、根強いファンも居る「オープン・ラバー」級というゴム動力競技があります。
この級の機体の制限は何もありません。「何でもあり」なのです。
これに対して、現行の国際級ゴム動力機(F1B級)は、全重量・ゴム重量・翼面積が定められていて、機体設計の大枠は抑えられています。大枠が決まった状態で、長い年月、世界各国で最適設計が追及された結果、設計は画一化して、出場機はみな同じように見えます。さらには、完成機の購入が認められたので、複数の同型機の参加も見られます。

オープン・ラバーと、F1B級は同じ先祖から発展した種目といえるのですが、競技者が「設計」する過程を比べてみると、その内容・範囲はまったく異なっていることは明らかです。
F1B級については、上記のとおりです。
これが、オープン・ラバー(無制限級ゴム動力機)になると、何から何まで全部自分で決めなければなりません。
筆者は、後者のタイプが設計活動として本筋であり、F1B級は特殊ケースだと思います。F1B級の設計者としての選手は、機体のごく一部だけしか自由にならず、主要な大部分の仕様は規定などによってすでに決まっているからです。
オープン・ラバー級では、選手の腕力によって動力ゴムの太さが決まり、腕の長さによって胴体全長が決まり、その大きさを基礎として「二乗三乗の法則」によって適当な翼面荷重になるように全体の寸法が修正されるとおもいます。
元気がよかった時代のオープン・ラバーの設計を見ると、F1B級の大きさの機体を軽く作ってゴムを沢山積む設計が平均的ですが、一回り小さくして構造重量の軽減を図った(「二乗三条の法則」)ものが勝っている例も見られます。また、F1A級に匹敵する翼面積のジャンボ機も参加しています。


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January 15, 2006

趣味際的設計論⑦

趣味際的設計論⑦:趣味際人

競技機は、年々進歩します。加えて、規定(機体仕様の制限)の変更もあります。
だから、往年の優秀設計が時代を超越して優秀であることは出来ません。
ただし、当時の状況を考慮して評価するならば、時代を象徴する優秀機はやはり優れていて、現在でも参考にできる点があります。
そういう視点からは、ゴム重量が矢継ぎ早に切り下げられた時代のウエークフィールド級ゴム動力機の設計は、名人選手たちが「お上」の過酷な要求に負けずに対応した結果として、見るべき点が多いのです。つまり、1954年に無際限のゴム(搭載量は最大で150g以上でした)が80gに、1958年に50gに、1967年に40gに切り下げられている期間です。
以降、35gを経て、現在(2005年)は30gになりましたが、40gからは切り下げの先行きは予測でき、ゴムの品質向上(ダンロップの糸ゴム~ピレリ~TAN2)もあったので、機体設計に大きな影響はなかったといえます。
無制限~80g~50gの期間はZAIC年鑑の発行時期と重なっていて、三面図などの資料も豊富です。往年の名人たちが何を考えてウエークを作っていたか推測するのは楽しく、また設計の勉強にも好適です。

筆者がF1B級を始めた時期は、80g時代の末期です。
1954年に無制限の動力ゴムが80gに切り下げられたとき、MAXも5分から3分に切り下げられましたから、エネルギーの切り下げと必要飛行時間の切り下げが見合っており、機体のエネルギー効率を少し上げれば対応できました。だから、世界選手権では最初からパーフェクト記録(3分×5回)が出ており、2年目は複数のパーフェクト記録者によって決勝飛行が行われています。
80g時代の途中で、発航法が離陸から手投げに変更されましたから、飛行時間はさらに余裕が増えたことになり、末期には日本でもパーフェクト記録が出ていました。動力ゴム無制限が80gになったときは、一般層にとっては却って出力とのバランスが取れた設計に誘導されたといえ、MAXに対してはよく飛ぶようになった可能性があります。
さすがに空転プロペラや車輪つきの固定脚は姿を消しましたが、全般的に見れば無制限時代の設計の贅肉を真剣に削ったとは言えず、F1B級近代化の流れでは過渡的な時期と思います。
本当の設計上の試練は、80gから50gに切り下げられたときでした。ほかの条件は変わらずに、エネルギーだけ2/3以下に切り下げられたからです。
50g規格で3分飛べば、80gでは5分近く飛ぶことになります。80g末期のエリート機ならば5分近い水準にあったのですが、その他大勢にとっては2分強の機体で3分MAX競技を行うことになったのです。
F1B級が現在の姿、考え方に脱皮したきっかけは、この時代(1958年)です。


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January 14, 2006

趣味際的設計論⑥

趣味際的設計論⑥:趣味際人

(承前)
さらには、模型航空機の他種目にとどまらず、戦闘機や輸送機などの実機、F1や乗用車などの自動車、身近にあるもろもろの機械や道具のデザインなど、すべて参考になります。美術館に行ってビーナスの彫像を見てくるのも役に立ちます。
佐貫亦男先生のご専門はプロペラですが、多数執筆されたヒコーキ・エッセイでは一流のデザイン論を展開されています。さらには、身近な道具類のデザインについても、また、古代生物の機能的「設計」についても、飛行機屋としての視点で論じておられます。
筆者にとってこれらのエッセイは、模型航空機を設計するときの感覚を養うのに非常に役立ちました。さらに拡張するならば、自動車設計者、造船技師、建築家などの設計論・デザイン論も参考になり、研究する価値があると考えています。

筆者の個人的な選択としては、航空界では上記の佐貫先生の諸著、ならびに設計者自身の設計記録(堀越二郎氏の「零戦」など)が参考になりました。
他分野は一人一人の「趣味際状況」によってさまざまと思いますが、筆者の場合では、

「ヨットの設計(Yacht Designing)」上・下(横山晃 著、舵社)

AERO-HYDRODYNAMICS OF SAILING
:C.A.MARCHAJ著 
:ADRARD COLES LIMITED GRANADA PUBLISHING
(上記の「舵社」で頒布したはず)

後の本(700ページほどの厚い英文原書)の著者MARCHAJは、趣味際人間で、世界選手権を持つヨット乗りであると同時に、グライダーの上級ライセンスを持っていて、本文の中にシュミッツ博士の翼型データまで引用していますから、飛行機屋としてとっつきやすいヨットの理論書です。加えて、ロスアンゼルス沿岸は、アメリカのヨットの中心地のひとつで、陸にあがるとどこかの航空機メーカーの設計屋と思しき人物のフネが多数例示されています。

クルマ関連としては
「THE MINI STORY;ミニ・ストーリー:小型車の革命」(ローレンス・ポメロイ著:小林彰太郎訳:二玄社)
を読みました。
F1あたりでは空気力学絡みも参考になります。しかしながら、それよりも目的にあわせて諸要因を妥協させていく過程は、どの分野でも共通なので、それを盗み取るのが肝要です。掲載されているミニの設計者のサー・アレキサンダー・イシゴニスのスケッチも秀逸で、「もの」を作るときに考えをまとめるには、このような絵を描くのだということがよくわかります。

東昭先生の「生物の動きの事典」(朝倉書店)や、佐貫亦男先生の「進化と設計(改題:恐竜たちと遊ぶ1時間」(朝日新聞社)は、全能の造物主の設計を分析しているわけで、これらも角度の違った設計論として貴重です。


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January 13, 2006

趣味際的設計論⑤

趣味際的設計論⑤:趣味際人

(承前)
最近のフリーフライト機は多機能タイマーを搭載して、多数の操舵翼面を動かしています。
別項で「フリーフライトとは何か」という本質論をやりますので、そこで詳しく取り上げる予定ですが、たとえタイマー仕掛けにせよ飛行中に「操舵」が行われることは、純粋派のフリーフライト屋には抵抗があったはずです。
しかしながら現実としては、フリーフライト機の飛行中の操舵は多数派になり、競技に勝つためには不可欠な手法となりました。

歴史的に見るとフリーフライト機の操舵は、曳航グライダーが採用した「オートラダー」が始まりのようです。これは、曳航策の支索に取り付けたピンで方向舵を中立に固定し、離脱によって方向舵の固定状態をはずして、輪ゴムの張力で一定舵角に操舵するものでした。このテクニックによって、曳航時の機体は直進するようになったので、グライダーの曳航は非常に楽になりました。
オートラダーの出現の時期は、CL(Uコン)の登場と微妙な年代で、どちらが先か不詳です。とにかく、初期の曳航グライダーの「オートラダー」は、郵便切手くらいの舵面をがたがたの糸ヒンジで垂直尾翼後縁に縫い付けたもので、機構的にも空力的にも荒っぽいものでした。ガスフリーのオートラダーも、エンジンを止めるタイマーに連動させて、エンジン停止以降はラダーを切り、旋回飛行に移行させる仕掛けで、ラダーの精度や効率はグライダーと似たような水準でした。
しかしながら、以降のCLは操舵機構が最重要部分でしたから、開発・改良の速度は早く、精密・確実な機構と操舵翼面を作り上げたといえます。この技術的遺産はRC(ラジオコントロール機に引き継がれ、一層の発達が行われています。

後年、フリーフライト機でVISやバントがついた時代には、RCやCLの操舵機構の開発は終わり、精密で信頼性のある設計が完成していました。歴史的に見ると、この技術がフリーフライト機に逆輸入されて現代のフリーフライト機の精密な「操舵」に至ったものと推測します。
そうであれば、隣接種目の技術を見守り、勉強していたフリー屋が「創業者利益」を享受できたわけです。つまり、当該機種にとどまらない、視野も広さが、設計に当たって有利に働いたわけです。


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January 12, 2006

趣味際的設計論④

趣味際的設計論④:趣味際人

模型航空機を造形する、あるいは論理的に決められた形を総合的にチェックする「美的感覚」・「バランス感覚」をどのように養うか? 実際のところ決め手はありません。
「本当に」美しいものだけを、数多く見るということに尽きるのですが、実際にやるとなると簡単ではありません。

理想的には、競技場に行って実物を数多く見ることです。肉眼だけでなく、カメラやスケッチブック、ものさし・はかりなど、データを取るための道具も使います。(前述「模型飛行機マニアはどんな写真を撮るか」参照)
競技中であり、選手としての「企業秘密」もあるので、データを取らせてもらうにも節度が必要ですが、オープンに依頼に応じてもらえる場合もあります。
とにかく、現物をさまざまな角度から肉眼で見ることができて、さらに飛んで機能するところまでチェックできるわけですから、現場取材に勝るものはありません。
しかしながら、現在の国際級のように設計が画一化し、購入した完成機やキットが多く見られる状況では、見る対象が限られ、偏る可能性が大きいのです。現場取材が有効な条件としては、多くの参加機が自作・自設計で、それぞれが個性を主張している状況であることです。

次善の策としては、たとえばザイク年鑑のような設計図集を熟読すること、さらには模型雑誌の工作記事・競技会の写真や記事などを数多く見ること、などがあります。
年鑑や雑誌記載の設計図、写真は、おおむね優秀機のはずで、「***競技会優勝」とか、そのときの記録・成績などが付記されているものもあります。しかしながら、雑誌の工作記事の中には、締め切りに追われてやむなく掲載したものがあるのも事実で(筆者も工作記事を寄稿していました)、必ずしもすべてが優秀機である保証はありません。年鑑に収録された設計図も、元は雑誌の記事が多いと考えられますから、同様の恐れはあります。
しかしながら、何回も熟読することによって、設計の良否は見えてくるようで、本物の優秀機以外の資料も反面教師的に利用できるようになります。

模型航空機の美的感覚を養うには、当該機種(たとえばフリーフライト)を見ることだけが役に立つのではありません。
むしろもっと広い範囲の一般的な美的感覚が役に立ちます。
だから、フリーフライト屋でもラジオ・コントロール機やコントロール・ライン機の設計
の解釈を試みます。後述しますが、他種目の技術にフリーフライト機の役に立っている部分が少なくないのです。

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January 11, 2006

趣味際的設計論③

趣味際的設計論③:趣味際人

「機能的に優れているものは、美しい」ということは真理のようで、多くの人がさまざまな表現で述べているようです。
前出の「飛行機設計論」にはイギリスの高速内燃機関研究者リカード(Ricardo)の「美と効率の良さとは同義である(beauty and efficiency are synonymous)」という言葉が引用されています。

真理乃至は多数意見であるだけに、補足や蛇足、パロディーも多数あるようです。
「その逆は、真ならず」・・・これははじめに取り上げた「デザイン(機能の裏づけのある造形)」と「スタイル(外形だけの造形)」との差に関係ありそうです。
「機能的に優れているにかかわらず、美しく見えないのは、その美しさがわからないためである」・・・スピットファイヤ派に言わせるとMe109は美しいとはいえないそうで、さらにもっと無骨で変な形に見える優秀機もあるそうですが、落語の「考え落ち」みたいにしばらく考えて、その美しさが理解できる名機もあるのです。
筆者の個人的な体験としては、競技会で始めて出会った機体のうち、一見汚いけれども丁寧に修理してあるものは、要注意でした。これは筆者が新人であったころ先輩に言われた「勝負の心得」でしたが、おおむね正解であったようです。これも美しいと感じなければならないのでしょう。

(模型航空機の)設計は、デザインであって、スタイル画ではないというところから出発しましたから、とりあえず「美的感覚」は封印して、空気力学などの理屈に裏づけされた論理によって、機能を目的に造形することを試みたわけなのですが、場所ごと・段階ごとに美的感覚・バランス感覚によるチェックが必要であるようです。


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January 10, 2006

趣味際的設計論②

趣味際的設計論②:趣味際人

「設計とは、概念を形に示す作業」ではありますが、その手段については限定がつきます。
「飛行機設計論」(前出参考文献)では、その作業は空気力学など諸力学の応用が必要としています。
また、「デザイナー」であるピニン・ファリナーに言わせても、「デザイン」は機能の裏づけのある造形だそうで、外形だけの「スタイル」とは峻別しています。

ほかの分野の「設計」はわかりませんが、模型航空機に関する限り、設計の対象となる「もの」は動いて機能します。それに対する設計者の「概念」は、機種・級別などの大枠の下に、一定の機能(要求性能、飛び方など)を達成する構造物(機体)ということです。
形と機能を結びつけ、関連させている論理システムが、空気力学などを基にした「性能計算」です。フリーフライト滞空競技では、滞空時間(秒数)という数値目標がありますから、それが可能かどうかは、まず「計算」されるわけです。

このアプローチで機体の外形を作るならば、物差しで寸法を測りながら直線定規とコンパスだけを使って作図したものになるでしょう。多分、寸法線を先に書き、それから外形を示す線を引くことにもなるでしょう。
ところが現実には、設計者の頭の中には「カッコ良く飛んでいる美しい機体」のイメージが存在し、そのフリーハンド・スケッチも行われていることが多いはずです。このスケッチは、前述の定義によれば「スタイル」画であり、機能の裏づけはありません。
「スタイル」と「デザイン」が峻別されているということは、設計にスタイル画的な要素が含まれない、必要ないということではありません。ややこしい言い方ですが、「スタイル画は設計(デザイン)ではないが、設計にスタイル画的な要素(設計者の美的感覚)は必要である」ということなのです。

ある切り口から見れば、「設計とは、美的感覚と、機能に結びつく論理性の相克の末の、発展的妥協」、ということのようです。この問題は、設計論の中心になりますので、以降も絡んでくると思います。
ちなみに、前出の「飛行機設計論」は、数式だらけの大著ですが、序と序論を割いて設計と美的感覚について詳しく論じています。その中では世阿弥(能楽の創始者)の「花伝書」まで引用されていますが、筆者はまだ読んでいません。
さらに山名先生いわく
「東大の飛行機設計の講義の中で、生徒の美的感覚を測るために石膏像のデッサンをやらせたところ、ビーナスをブルドッグのように描くものが少なくなかった」。
「スタイル画」であっても、カッコ良く飛ぶフリーフライト機のスケッチができる人は、ものを全体として正しく見る能力、均衡と調和の感覚があるという点で、設計者の適性があるといえるのでしょう。
ただし、「美しい飛行機」の定義はさまざまで、詳しく検討する必要はあります。

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January 09, 2006

趣味際的設計論

趣味際的設計論:趣味際人

模型航空は、長く複雑な一連の活動を含んでいます。
「飛行させる」、あるいは「飛行と修理の繰り返し」が最終工程になりますが、その前段階の活動はいくつもあり、さかのぼればキリがないのです。
飛ばす前に、機体の製作があります。完成機の購入という手もありますが、フルコースで楽しむならば自作になります。さらに、製作の前に「設計」があり、その前に基礎研究、資料収集などの活動が行われています。
これらをすべて包括したものが、フルコースの「模型航空」になるわけです。
できるだけ楽しむ範囲を広げようとするならば、機体の製作以前の工程に関わってくるのが当然です。

一口に「設計」と言っても、人によってやり方も違い、意味するところも一つではありません。そこで、言葉の定義をはっきりと定めておきます。

広辞苑
<設計> plan、design
「ある製作・工事などに当たり、その目的に即して、工費・敷地・材料および構造上の諸点などの計画を立て図面その他の方法で明示すること。もくろみ。みつもり。」

漢和辞典:略同上

英和辞典
plan:①計画、プラン ②案、方法、流儀 ③平面図、設計図、地図
design:①設計(plan)、下絵(sketch)、構想(plot)
       ②意匠、図案、模様(pattern)
       ③計画(plan)、企画(scheme)
       ④陰謀(plot)、
       ⑤目的(purpose)、意図(intention)

いわゆる字引の類には、以上のように書かれています。

そのものズバリの「飛行機設計論」(山名正夫・中口博:養賢堂。名著です)によれば、序文に
「設計は、概念を形に表してゆく仕事であって・・・」
とあります。筆者は、この定義が短く包括的に示しているので、好んで引用します。

旧アエロモデラー誌は、原寸の設計・工作図を数多く発行し、その縮小版を雑誌に掲載していました。この設計・工作図の綜合カタログも別冊で発行されていましたが、タイトルは「プランズ・ハンドブック」でした。このような「図面」は「プラン」と呼ばれています。「プラン」を作る作業が「デザイン」なのでしょう。


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January 08, 2006

ゴム動力機の機体設計の歴史⑮


ゴム動力機の機体設計の歴史⑮:趣味際人

ある競技種目の参加機の形が、長短・細太・丸角と、さまざまな形をしていて、それが平等に競っている状態は、活性のある望ましい状態です。ギヤ機・ながものなど特別の設計が、大多数の普通の形の機体に混在し、あるいはリードしていたゴムが無制限の時代は、そういう点で「よき時代」であったわけです。
もともと、ウエークフィールド級ゴム動力機は、初期にはエンジン機の参加も容認したくらいおおらかな制限でした。その兄弟分といえる、「ゴム動力ならなんでもあり」の「オープン・ラバー級」が、今でもその思想を継承してイギリスの国内競技に残っているのです。
上記のような自由でさまざまな試みができる環境は、確かに望ましいのですが、軽量化と空力面の効率向上の技術がそろった戦後の模型競技界では、さすがに飛びすぎたようです。

そこで1954年から、動力ゴムの制限(80g)、MAX切り下げ(5分より3分へ)、ラウンド数増加(3回より5回へ)という競技規定の改正が行われました。
このときの改正が、以来の滞空競技法の基本をなした重要な変化でしたが、上記のような自由な状態を愛する人たちの間では、非常に評判が悪かったことも事実です。

筆者がはじめてウエークフィールド級機を作ったのは、動力ゴムが80gになった時期の末期ですから、この改正の背景や、模型競技の世界政策などについては、リアルタイムでは知りません。後から想像すると、世界的な拡散・普及策を見据え、「記録から競技へ」という流れに沿ったものに見えます。
但し、その副作用として機体設計の画一化が生じました。
無制限~ゴム80g~ゴム50gくらいまでは、短期間の改正であったので、モデラーは設計条件の変化に追われて新設計をせざるを得なかったので、ザイク年鑑などの設計図集を見るとかなり変化に富んでおり、面白い時期でした。しかしながらゴム40g時代に入ると次の改正(ゴム35g~30g)まで長期間固定されたので、設計の画一化が表面化
したといえます。
この時期にBOM(自作)条項の削除と、メカニズムと材料のハイテク化が重なります。結果として、自作は困難に、あるいはその様にしなくても済むようになり、自分が設計して仕様を決める機会は激減しました。

模型航空の活動のうち、自分で、できるだけ基礎から設計することは、経験あるものにとってはかなり美味しい部分です。
その前提は、現在の国際級と逆で、
   A,仕様制限が長期間固定されないで、設計の決定版がわからないこと
   B,手軽にさまざまな形の機体を作れること。(バルサ材による自作)
ということになります。
自分で設計をするという活動は、模型航空の中でもハイレベルの部分といえるのですが、それを十分に楽しめる機種は皮肉なことに、F1B級よりもF1G級、さらにはローカルな小型機(P-30、ミニクープ、ライトプレーンなど)なのです。

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January 07, 2006

ゴム動力機の機体設計の歴史⑭

ゴム動力機の機体設計の歴史⑭:趣味際人

(承前)
前述のような、大量の、但し長さが長い動力ゴム束を使えるという状況で、ゴム束のたるみによる釣りあい変化を防止するための設計として登場したのが、前述のエリラ機とビルグリ機です。
エリラ機は、ギヤ(歯車)を後ろフック側に取り付け、2本の動力ゴム束を結合しています。つまり、1本目のゴム束の前側にプロペラがつき、それが戻ってトルクが落ちると2本目のゴム束がギヤを介して巻き込む仕組みです。
ゴム動力機のギヤ機には、もうひとつのやり方があります。機首のプロペラ軸にギヤをつけて動力ゴムの回転を伝えるものです。この中にも2種類あり、ひとつはゴム束の回転を増速してプロペラをまわすもの、二つ目は複数のゴム束で同時にプロペラを駆動するものです。
いずれの方法にしても、一定のフック間隔に1本のゴム束をつけた場合よりも、プロペラを回す回数は増えます。バルサ革命以前、ウェークフィールド級以前の飛び方は、低空を直線的の飛ぶ方法が多く、モーターランを長くする必要があったので、ギヤが使われたと考えられます。

金属で作った歯車装置は結構重く、回転の伝導損失がありますから、普通の直結型に比べてエネルギーの2重の目減りが生じます。長いゴム束をたるませずにプロペラに直結するためには、フック間隔つまり胴体を延長すればよいわけで、その方法を取った設計がビルグリ機でした。胴体の全長は65インチ(1650mm)、フック間隔は57インチ(1450mm)に達します。
このような胴体が異常に長い形式は、当時「ながもの」と呼ばれ、アメリカを中心に一派をなしていました。確かに、ギヤの持つ欠点は持っていませんが、胴体の重量が増加し、重い動力ゴムが前後に長く分布するので縦安定面に問題があったようです。
当時のスパンは1200mm程度でしたから、胴体の長さは目立ちますが、後ろモーメントアームは850mmくらいで、現在のF1B級(ゴム30g)と比べるとあまり変わりません。違いは、機首が主翼前方に600mmも突き出していて、そこから動力ゴムが尾翼直前まで積まれている点なのです。
歴史的に見ると、「ギヤ」と「ながもの」の両形式の対決は、ギヤ機の世界選手権で4連勝という結果となりました。

ギヤ機では、2倍近い巻き数を使えますから、モーターランは長く、1分30秒~2分くらいになります。記録から見た性能は、4分程度ですから、滑空時間は2分強になります。
現在のF1B級は1分弱のモーターランで5分以上の滞空をしますから、滑空時間は4分強で、昔のギヤ機の2倍です。
つまり、滑空時間の比率が小さければ、抵抗の多い空転プロペラでも影響は少ないという計算から、軽量・確実という利点を評価して採用したと考えられます。
ギヤ・空転プロペラという当時としても古典的な組み合わせは、バルサ革命とその熟成による軽量化、動力ゴムの増量が、当時の規定(仕様制限)と組み合わせられて出現した結果なのです。

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January 06, 2006

ゴム動力機の機体設計の歴史⑬

ゴム動力機の機体設計の歴史⑬:趣味際人

(承前)
いずれにしても、コルダ・フィロン時代より10年ほどで、ウエークフィールド級の機体重量は半減し、動力ゴム重量は倍増しました。設計者としてこれをどのように利用するのが合理的でしょうか?
動力ゴム搭載比が増えたとき、急上昇にしてより高い上昇高度を稼ぐか、モーターランを延長するか、(間の折衷案もありますが)2つの選択肢ができます。この時代の有害抵抗の大きな機体を前提に考えると、高速飛行となる急上昇は抵抗の増加が著しく、そのために食われるエネルギーが無視できません。加えて、滑空性能も現在よりはるかに劣悪ですから、余分に稼いだ高度も効率的に利用できないわけです。
風に吹き落とされない程度の上昇率が確保できれば、上昇中の機体速度はなるべく遅く保ち(ほぼ滑空速度なみ)、ゆっくり上昇させたほうが理論的には有利なのです。
他方、ゴムをまく実務を考えると、動力ゴム束の太さ(断面積)は歴史的に見てもほぼ一定で、100平方mmくらいです。つまり、これ以上太くすると普通の人間の腕力では巻ききれなくなるのです。
以上の理由によって、太さを増さないで動力ゴム重量を150gまで増やすと、束の長さは1.5mに達します。コルダ・フィロン時代のウエークフィールド級の全長は1mくらい、フック間隔はその80%位ですから、そこに1.5mのゴム束を取り付けると長さの半分くらいのたるみが出ることになります。ピッチング飛行でこれが前後に移動すれば、数10gのバラストが数10cm移動するわけですから、安定を保つことは不可能です。
この時代に「ホワイト・システム」と呼ばれる、動力ゴム束を編んで短くする方法が使われています。実務としては、はじめにゴム束を半分の条数・2倍の長さに作り(従って、条数は4の倍数になる)、それを逆方向に数10回巻き、2つ折にして自然に巻きつかせるわけです。この方法によってゴム束の長さは10~20%短くなります。
多少の巻き数の減少はありますが、一定のフック間隔に余分な重量のゴムを積めるというメリットのほうが大きいと評価されています。
モントリーオール・ストップは、ゴム重量が制限された現在でこそ評価されていますが、長いゴム束を短いフック間隔に押し込むことに苦労した時代では、戻りきったゴムのたるみが出ることが欠点になります。上記の条件を考えると、多少の巻き数は残ってもゴムをたるませないで止めてしまう、シャフトを前にスライドさせる従来型のプロペラ停止装置が合理的と言えます。

ホワイト・システムを使い、前後スライド式のプロペラ停止装置を使い、長いゴム束を胴体のフック間隔にあわせる努力をしても、それで納まる動力ゴム束の長さはせいぜいフック間隔の1.5倍」くらいです。それにしても、最後に残る巻き瘤の位置が不安定で、重心の移動があるといいます。
つまり、コルダ・フィロンの基本設計を動かさずに構造重量の軽減を行い、その分だけ動力ゴムを増やした場合、その限界は50%増し(120g)までであり、その場合も巻き瘤の位置による重心移動は管理できないので、最適状態での滑空飛行は保障できないということなのです。


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January 05, 2006

ゴム動力機の機体設計の歴史⑫

ゴム動力機の機体設計の歴史⑫:趣味際人

空転プロペラが再登場して、より優れているはずの折りたたみプロペラに勝ったという技術的逆行現象は、機体の軽量化・動力ゴムの増加に原因するようです。
戦前の「コルダ・フィロン時代(前述)」は、ゴムの搭載量が80gくらいでした。後年、この重量が動力ゴム制限の参考にされたようです。
戦後に再開されたとき、動力ゴムの重量はほぼ倍増し、最大では150gに達しました。機体の全重量230g(戦前は8オンス=227gであるが、差は無視できる)は同じですから、機体の自重は逆に150gから80gへと半減したのです。
飛行機として、重量の軽減は各種性能の向上に包括的に効きますから、誰もが努力します。大きく革命的に効果が上がったのが、バルサ材の導入で、旧来の硬木構造の機体重量が半減したと思われます。

しかしながら、初めて採用した木材を使いこなすには細かいノーハウの積み重ねが必要で、バルサ構造は登場(1930)から何年もかけて進化するはずです。1950年までの、第2次世界大戦のブランクを含む20年間が、バルサ材を完全に使いこなすために必要であった期間だと思います。
バルサ材は重量あたりで見ると丈夫な材料ですが、従来のモノサシでそれまでの木材に比べると、「軽く、弱い」感じを受けます。だから、軽く小さい機体から使われ始めたのでしょう。アメリカチームが使った、初めてのバルサ機(1930年)は、全重量が在来機の半分くらい(4オンス)、翼面積も70%くらいの小型機でした。
それが、少しずつ大型機に拡散して行き、フルサイズのウエークフィールド機(8オンス)に至ったのでしょうが、コルダ・フィロン機はバルサ革命より10年もたっていませんから、バルサの特長を生かした十分な軽量化の効果は出ていなかったといえます。
ちなみに、両機とも設計が戦中に日本に紹介され、先人はバルサを使わずに製作せざるを得なかったのですが、原型機と変わらない重量で作られています。

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January 04, 2006

ゴム動力機の機体設計の歴史⑪

ゴム動力機の機体設計の歴史⑪:趣味際人

第2次世界大戦が終わると、世界の模型航空界も動き出し、日本もその中に組み込まれていきます。日本の競技規格にも国際級規格がそのまま入れられ、世界選手権の参加も1950年代の初頭に実現しました。
世界の技術交流も盛んになり、戦争中は温められていた新しいアイデアがあちこちで現れてきます。

ところが、ゴム動力機の分野では、ギヤ(歯車)駆動、空転プロペラというかこの手法が復活するという、一見奇妙な逆行現象が起こりました。ウエークフィールド級の世界選手権が復活して3年の間は、上記の組み合わせの機体が優勝したのです。
戦前の最後になった1939年優勝機(コルダ:米)は1翅の折りたたみプロペラでした。
また、外国と交流のなかった戦中の日本でも、折りたたみプロペラはこなしていたようです。だから、空転ペラ装備の機体が優勝した1950年前後の時期には、実用性の高い折りたたみプロペラが存在したはずなのです。

この論評を始める前に、1950年当時の空転プロペラ・ギヤ機、折りたたみプロペラ・ギヤなし機の要目を、比較掲載しておきます。


機名     1950年エリラ機     1951年?ビルグリ機
       (スエーデン)       (アメリカ)
       ギヤ・空転ペラ       ギヤなし・折りたたみペラ

全長     1000mm        1700
全幅     1200mm        1200
主翼面積   14.1平方dm      13.5
水平尾翼面積  4.8平方dm       5.0

プロペラ直径  450mm         610
    ピッチ 620mm         600
重量
  合計     255g         241
  ゴム     145g         156
  胴体      34g          37
  脚        9g           -
  主翼      24g          17
  尾翼      14g           7
  プロペラ    22g          24  


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January 03, 2006

ゴム動力機の機体設計の歴史⑩:

ゴム動力機の機体設計の歴史⑩:趣味際人

前述の「日本模型航空機記録規定」は、諸外国のものを参考に作られていますから、欧米の模型機規格も同じようなものと思います。
但し、「ライトプレーン」は日本独特の機種です。
また、D級ゴム動力機は「国際級」とされていますが、当時のウエークフィールド級(W級)の制限(前述)とは異なっています。しかしながら、当時コルダ機(1939年級級W級世界選手権機)、フィロン機(1937年同上)の設計(前述)が模型航空誌に掲載され、競技参加もあったと思いますから、小改造(多分、胴体断面積の追加?)によって共通化可能な制限と考えられます。

当時の代表的な国産の設計であるD-1機(D級)とC-2機(C級)の仕様を示しておきます。両機とも、翼端楕円翼・流線型胴体の美しい機体といえ、日本でも古典機種目が制定されたら人気を集める設計と思います。
当時、レイノルズ数の低下による翼型性能の低下は意識されており、縦横比増加による誘導抗力削減と、細長い翼(レイノルズ数低下)の翼型性能低下との損得が論じられていました。D-1機、C-2機は、共にコードをできるだけ大きくしてレイノルズ数を稼ぐ方向の設計で、現在の常識で見ると縦横比の小さい主翼平面形を採用しています。

名称       C-2型        D-1型
出典       「模型航空」誌     「模型航空」誌
         昭和18年11月    昭和19年3月
   
全長       700mm       950
全幅       800mm       892
主翼翼弦     154mm       170
主翼縦横比    5.7         6.0

水平尾翼幅                480mm
水平尾翼縦横比  3.7         5.3

主翼面積     11.2平方dm    13.32
水平尾翼面積    3.7平方dm     4.32
垂直尾翼面積    1.0平方dm     1.84
胴体断面積     0.54平方dm    0.90

プロペラ直径   370mm       420
プロペラピッチ  418mm       475
プロペラ翅幅    59mm       

主翼翼型     NACA6409    同左
水平尾翼翼型   Goe622      Goe612

重量
  主翼      24g         
  尾翼       9g
  胴体・脚    31g 
  プロペラ    26g
  ゴム      40g         76g
合計     130g        202g

なお、「模型航空」誌ならびに当時の機体設計図などの資料CDは、日本模型航空連盟(JMA)にあるはずです。


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January 02, 2006

ゴム動力機の機体設計の歴史⑨

ゴム動力機の機体設計の歴史⑨:趣味際人

(承前)
順序が逆になりましたが、前回に述べた級別仕様制限の前に「競技用模型航空機に関する定義」として、以下の一般的仕様制限を定める条項がつきます。前回の制限とあわせるとかなり厳密な機体制限になります。

一) 本記録規定に於いて認むる競技用模型航空機は、左の(注:原文は縦書き)各項の要件を具備するものとす。
1、 実物の飛行機、または滑空機の原理を具備したるもの。
2、 無動力或いはゴム動力、または内燃機関を具備したるもの。
3、 競技参加者自ら製作せるもの。
但し、機体部分品及び発動機、プロペラはこの限りにあらず。
4、 構成材料は、国際品をしようするものとす。
  但し、当分の間、特に指定するものはこの限りにあらず。(例、バルサ材、発動機等)

二) 本規定に認むる競技用模型航空機の構造は、左(注:同上)の条件によるものとす。
1、 被覆胴体とは整形覆を施し、外部にゴム動力の露出せざるものにして、胴体の最も太  
  き箇所に於いて、次式に表せる数値以上の断面面積を有するものとす。
イ、 ゴム動力附D級および内燃機関附のもの
(断面積)=(胴体全長)^2/100
ロ、 ゴム動力附C級
(断面積)=(胴体全長)^2/150
ハ、滑空機H級
(断面積)=(胴体全長)^2/200
胴体全長の測定には尾翼を含み、プロペラは含まず。
2、 翼荷重は全重量(グラム)を主翼面積(平方デシメートル)にて除したる値とす。
   但し、水平尾翼の面積が主翼の33パーセントを超ゆる場合には、これを主翼面積   
   に加えたる値を以って全重量を除し、翼面積を求むるものとす。
   主翼の胴体内に含まるる部分は、翼面積に算入するものとす。
3、 上反角を有する航空機の翼幅及び翼面積は、上図(略)の如く、A、B面に投影したるものを採るものとす。(注:現在の国際級と同様の測定法)
4、 動力を有するものは、B級を除き、総て車輪または浮舟附の降着装置を附するものとす。
5、 飛行に際し、模型機の如何なる部分も解体せしむることを得ず。
6、 必要に応じ搭載すべき重錘は、機体内部に確実に固着、封印しおくを要す。

三) 本規定外、左(注:同上)のものは特殊機として認むることあり。
1、 ゴムまたは内燃機関以外の動力を装備するもの、並びに飛行中、地上競技者の任意に操縦し得る仕掛を有するもの。
2、 限定以上の内燃機関を装備するもの。
(以上)

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January 01, 2006

ゴム動力機の機体設計の歴史⑧

ゴム動力機の機体設計の歴史⑧:趣味際人

日本の模型航空が組織化されたのは1940年ころのようで、「日本模型航空機記録規定」が制定されています。「記録規定」、つまり模型機の飛行記録をとるための規定という名前なのですが、内容は現在の競技規定とほぼ同じです。
その中に、使われる機種の定義や仕様の制限が列挙されており、この時代に日本で飛ばされた模型機の枠組みを定めています。世界の流れは前回までに述べたとおりで、それを参考にして日本流の枠組みが作られたということになります。
制定直後に第2次世界大戦が始まりましたから、日本の模型界もいわば鎖国状態になり、この規定と戦中の模型航空教育を基礎に日本の模型機の設計が行われたわけです。

以上を背景として個々の規格にふれていきます。
「日本模型航空機記録規定」では以下のような機種が制定されています。(原文は、旧漢字、旧仮名遣いであるが、現在の書き方に書き直した。)

A級(ライト・プレーン)
ゴム動力を用い、1箇のプロペラを駆動し、1本の主幹または、主幹とその補強材の組み合わせにて胴体を構成し、整形覆を施さず、ゴム動力は、全面的に外部に露出するものとす。要目は、翼幅70センチ以下。

B級(室内用ライト・プレーン)
同上

C級(小型機)
ゴム動力を用い、被覆道程とす。翼幅100センチ以下、翼荷重10グラム毎平方デシメートル以上

D級(国際型)
ゴム動力を用い、被覆胴体とす。翼幅70センチ以上350センチ以下、翼荷重15グラム毎平方デシメートル以上とす。

E級(自由型)
ゴム動力を用い、翼幅70センチ以上350センチ以下、翼荷重15グラム毎平方デシメートル以上とす。但し、プロペラの数、位置、胴体断面積、構造、尾翼の面積に制限なし。

F級(ライト・グライダー)
動力の装備なく、胴体の構造、翼荷重は自由とす。翼幅70センチ以下。

G級(小型滑空機)
動力の装備なく、胴体の構造は自由とす。翼幅120センチ以下、翼荷重10グラム毎平方デシメートル以上とす。

H級(国際型滑空機)
動力の装備なく、被覆胴体とす。翼幅70センチ以上350センチ以下にして、翼荷重15グラム毎平方デシメートル以上とす。

I級(小型エンジン機)
装備する内燃機関の全行程容積3.25立方センチ以下にして、被覆胴体とす。翼幅70センチ以上350センチ以下、翼荷重は最大50グラム毎平方デシメートルとす。

J級(中型エンジン機)
装備する内燃機関の全行程容積は、I級以上5.00立方センチ以下にして被覆胴体とす。翼幅70センチ以上350センチ以下、翼荷重は最大50グラム毎平方デシメートルとす。

K級(大型エンジン機)
装備する内燃機関の全行程容積は、J級以上10.00立方センチ以下にして被覆胴体とす。翼幅70センチ以上350センチ以下、翼荷重は最大50グラム毎平方デシメートルとす。
(続:以上の級別仕様制限に加え、次回で示す一般的な仕様制限が加わる)

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